エスカレータでの歩行
2008年07月19日 02:05
久しぶりに歩行のお話をします。今回は、エスカレータでの歩行について。呉智英さんが msn.com にこの話題を書いていたので、少し思うところを書いてみます。
まず、呉さんの記事は「【断 呉智英】歩くな、危険!」というタイトルで、僕にも経験があった東京駅の話からはじまります。どうでもいいけど、このコラムはタイトルをはじめて見たときに、逆に誰かが呉智英を題材にして論難しているのかと思ってしまいました。あまりよいシリーズタイトルとは思えませんが、いかにも産経らしいと言えばらしいのかもしれません。
僕が昨年の春頃に、東京へ毎週のように出張していたときのことです。呉さんも書いているように、新大阪から東海道新幹線で東京駅へ着くと、新宿方面へ行く場合は、メトロの駅を目指すか中央線に向かう人が多いでしょう。僕はいつも中央線を利用していたので、東京駅を東端から西端へ移動してから、あの長いエスカレータを使うわけです。もちろん、新幹線の駅は通常の高架駅よりも高い位置にあることが多いので、新幹線を頻繁に利用していると大して長くも感じなくなりましたが、やはり最初のうちは見上げるような気分で乗ったものです。で、東京ですから右側を通路として空けることが多く、小走りに登っていく人を何度か見かけました。混雑する時間帯であれば、もっとたくさんの人が駆け上っていくのでしょう。
いま「右側を通路として空けることが多く」と書いたのは、いつでも右側が空くわけではないからです。これは、東京駅が関西方面からの乗降客に利用されているので、エスカレータが空いていれば関西方面のお客さんは疑いもなく右側に立ち、前の人が右に立てば後から登る人たちも右に立つ傾向があるように観察できたからです。そして、これは不思議なことに新宿駅でも一度だけ見た光景です。たまたま先を歩いていたのが(その土地にとっての)田舎モノだったというだけのことかもしれません。
さて本題に入ると、呉さんの要点は、右側であれ左側であれともかくどちらかを通路として空ける暗黙のルールはやめようということです。もちろん通勤時間帯なら、両側をみんなが登っていたり、両側ともみんなで突っ立っていたりするのですが、どちらかを空けるということに問題があるのではなく、どちらかを登ることがムダであり危険でもあるという趣旨なのですね。もしそうであれば、大阪の梅田駅や心斎橋駅、あるいは東京の新宿駅にある「動く歩道」はどうなるのか(なぜか大阪では「歩く歩道」と言う人がいる<笑)。もちろん、危険であるという理由で、乗ったまま立っている方が安全なのかもしれません(これの上を歩くと、普通の通路を歩いている人よりも移動速度が倍以上になっていることを横目で実感できます)。実際、呉さんも紹介しているように、名古屋では二列に並んで乗りましょうと掲示されているようです。
しかし安全かどうかはともかく、僕自身の好みで言えば、空いている動く歩道に突っ立っているのは寧ろ苦痛だし、空いているエスカレータに乗ってゆるゆると動いていても仕方がないと思ってしまいます。それに、エスカレータと階段が併設されていない場所では、エスカレータに乗っているだけなら、階段をふつうに登る方が僕の場合は速いのです。確かに、殆ど同じ速さならエスカレータに乗る方が楽ではありますが、動く歩道はともかく、エスカレータと階段が併設されている場所なら、僕は殆ど階段を使うので、別に楽をしたいわけではありません。僕がエスカレータに乗るのは、階段と併設されていなくて、それしか登る手段がないからです。それしか移動手段がないのに、「余裕ぶっこいてエレガントに立ってんじゃねーよ」という人が前にいると、やはりそれなりに気分が悪い。まぁただの身勝手な感想のレベルではあります。
そういうことで、やはり初心に帰って社団法人エレベーター協会のサイトを訪れてみると、エスカレータのどちらか片方を歩行するのは「危険行為」と言ってもいいようです。また、どちらか片方を空けて立つ人は逆の手でそちらの手すりにつかまるしかないというのは、社会正義に反しています。例えばエレベーター協会の説明にもあるように、
たとえば左手を骨折していて、右手でしか手すりにつかまれない方がいらしたとします。その方はエスカレーターの右側にしか乗れませんが、右あけが慣習となっていたらとても不自由で危険です。
こういうことを「先を急ぎたい」だけの理由で他人に強要する資格など、殆どの人間にはないでしょう。あるとすれば警察官が被疑者を追いかけているときくらいものです。こういう場面でたいてい急いでいるのは、ネクタイをしたサラリーマン様ですが、実は時間の管理ができていない、ただのバカでしかありません。あるいは急がざるを得ない状況を自分で喜んで作っては、「あぁ、俺のビジネス人生ってば、なんて『24』なんだろう!」と思ってるマスターベーション野郎くらいのものでしょう。つまり、エスカレータは急ぐ人のために作ったわけではないということを、どこかで明言しなければならないのでしょう。
他方、呉さんが最後に紹介しているように、片側通行を推奨したジャーナリストもいたらしいのですね。本稿では、裏をとっていないので実名は出さないでおきますが、どのみち名前を出してもい20~30代の人は知らないでしょう(逆に、この人とか小田実さんとかをふつうに知ってたら、既にあっち系の世界の住人だから驚きもしませんが)。そして、このエスカレータの片側通行について調べてみると、意外に「マナーなのに両方を塞いでいる人がいる」と書いている人も多いのです。
・・・じゃあ、最初の方で書いたように、他人がやってることをマナーだと思ってる田舎モノが大阪にも東京にもうじゃうじゃいるってだけの話になるな。まぁ、どちらの都市でも8割くらいは田舎モノなんだけど。
