New York Timesが全く新しいウェブ・ユーザー・インタフェースをテスト中
2009-11-13 02:45 /
キーボード・ショートカットはなかなか便利だが、FirefoxとChromeで短時間テストしたところでは、まだ多少バグがあるように感じた。あと重要な機能としては、従来のNYTimesのウェブサイトに比べるとカスタマイズが非常に簡単にできることだ。政治、科学、スポーツなどのセクション、特定のトピック、ブログなどを指定してフィルターをかけることができる。残念ながら特定の記者を指定する機能はない。
使ってみたが、2007年頃に一瞬だけウェブデザイナーたちの話題をさらい、その年の秋には運営をやめてしまった「UXMagazine」みたいな印象だ。この例が示すように、仲間誉めのネタでしかない綺麗なだけの UI など導入したところで、サイトやビジネスの成功にはなかなか直結しないものだ。NYT とて、UI を変えたくらいで「新聞離れ」がどうにかなるとは思っていまいが、おかしなスケベ根性で JavaScript を弄くっているだけなら、時間の無駄でしかない。
そもそも、Prototype や jQuery といったライブラリが登場してから、ウェブサイトで JavaScript を使うことが解禁状態に近くなっている。僕の勤める会社でも、swfobject.js といった FLASH の表示に使われるライブラリだけでなく、いまや UI にすら JavaScript を使う機会が増えた。いわゆる「リッチ」で「WEB 2.0」的なユーザ体験を提案したい場合に、このような仕組みはうってつけなのであろう。
しかし、残念ながら JavaScript のプロと呼べるコーダはぜんぜん(というか全く)増えていないように思うし、JavaScript のプログラミングでまともな費用を請求できる案件もぜんぜん増えていない。したがって、企画書に「Ajax」だの何のと書きたいがゆえに UI を無駄に動かそうとするものの、別途の予算はないから出来合いのスクリプトを Google 先生に教えてもらうというレベルから一向に改善しないのだろう。
いや、それが「改善」なのかどうかは一概に言えないのではないか。なぜなら、殆どのウェブサイトの構築にとって、JavaScript がなければ達成できないというビジネス上の要求はあるだろうか。なるほど、単なる賑やかしや Ajax による動的なページ更新といったものが UI をリッチに見せてくれるという点はあろう。しかし、本質的なところでは、そのようなものに頼らなければならないサイトというものは、500 円の価値があると見せなければ 100 円でも売れないクソ商品である可能性が高い。現に、リッチで WEB 2.0 的な look and feel を最初から与えられたサービスサイトで成功したものは幾つあるだろうか。恐らくみなさんが思い浮かべるあれやこれやのサイトは、サービスインした頃はもっと慎ましいものだった筈である。Google しかり、Facebook しかり、Twitter や mixi ですらそうだ。思うに、JavaScript による非同期のデータ通信や UI のハリボテ効果など、つまるところ、ビジネス的に頭打ちのサービスサイトへバカを呼び込むための目くらましでしかない。本当のところ、業務で書いている人々の多くはそれが分かっているのではないか。それゆえ、「改善」すべきことなどないと考えることもまた一つの見識であるようにも思える。
新しい NYT のサービスが、いまだに俺の自宅 PC や会社の PC でまともに動かない TweetDeck みたいな駄作と単に似通った UI であるという、絶望的につまらない点でしか評価されないとすると、恐らくローンチにこぎ着けたとて、せいぜい次の1年を乗り切れるかどうか疑わしい。やはり情報を取り扱うサービスサイトは、情報の取り扱いそのものによって真価が問われるのだ。
