自治体で流行るデザイン

2009-11-19 02:14 / hittings

hirakata

枚方市のサイトを見たときにも感じたことなのだが、最近の自治体にありがちな「お決まり」と言っても良いリキッドレイアウトは、果たして表示領域を有効に使っていると言えるのだろうか。

上記は、その枚方市のサイトである。両脇を固定幅のサイドバーとして、左がメニュー、右がバナーという置き方は、最近の自治体サイトでは定番と言っても良いレイアウトだ。中央がメインのコンテンツ領域となっていて、トップページにはイベントや公示のお知らせが並ぶ。

以前、大阪市のサイトを論評したときにも感じていたことだが、これはどうなんだろうか。

まず左のメニューについては、ここを固定幅としている理由は一つしかない。つまり、メニューが画像で作られているからだ。カラムを相対幅にすると、固定幅の画像はページ全体の横幅が広くなるほど余白が無駄に残る。それゆえ、固定幅にしてあるということだろう。反対の右カラムにしても、バナーが画像で作られているために、固定幅にしなければ無駄な余白が残る。こういった理由で固定幅になっていて、中央のメインコンテンツに無駄な余白が残ってしまうという皮肉な結果になっているように思う。もちろん、中央のカラムに情報がぎっしり詰まっている方がいいというわけではなく、物事は視覚的にも、データ量という数値の上でも適切なバランスが必要だ。しかし、少なくとも昨今の流行となっている上記のようなレイアウトは、まるでテキ屋の出店が脇にたくさん並ぶばかりで、客のいない秋祭りみたいである。

また、メニューやイベント告知に画像を使っているせいで表示が遅くなる。だいたい、サイドのメニューに使われているイラストは必要だろうか。視覚的に一目で「市議会」や「図書館」へのリンクであることを表すには、このようなイラストを使わなくても効果的にカテゴリーを表せる方法があるはずだ。よく、「文字だと読まなくてはいけないからアイコンが必要だ」と言われるが、人間の認知能力はそこまで単純でもない。「東京」という言葉を例に採ると、まず「東」の文字を読み、それから「京」の文字を読んでから、「これは『東京』だ」と理解しているだろうか。そうではなく、或る程度の範囲ならひとまとまりに「東京」と捉えているはずだ。逆に言うと、アイコンや挿絵が効果的だと言う人に限って、上記のサイトに見られるような、アイコンとしては複雑すぎる(ビジターを考えさせてしまう)図案を好む傾向がある。しかし、複雑になると「ひとまとまりの何か」として即座に理解することが難しくなり、想定とは逆に素早い判断ができなくなってしまう。つまり、図案をサインとして処理しきれなくなり、ビジターは色や形に拘ってしまうようになるのだ。

メニューに付随させるアイコンは、ロゴマークとは完全に設計思想が違う。アイコンは無名かつニュートラルで、それがあることをユーザに意識させないくらいのシンプルな設計が必要だ。そういう設計思想を逸脱し始めると、Vista 以降のコントロールパネルや Mac OS X のシステム環境設定を見ればお分かりのように、いったいどれが何の設定を表しているのか、逆にテキストを見なければわからなくなってしまう。こういうビジュアルに拘りすぎた事例を「二流の UI 設計」と言うのだ。アイコンは「次のアクションに繋げる」ためのもので、観賞するようなものではない。もちろん、観賞用のリッチなアイコンを求める「消費者」がいなければ Microsoft も Apple も Adobe も事業継続できなくなってしまっており、彼らを日々コンピュータを使って何事かを行うという異常な生活から引き戻すことは難しいわけだが。誰も言わないみたいだけど、圧倒的に多くの人がコンピュータの端末機器を(64ビットマシンであれ iPhone であれ)使ってる生活なんて、実は理想でもなければ大幅に昔から進歩しているわけでもなく、単に一時の異常としか思えないのだが。どうなんだろうか。

右側のバナーにしてもそうなのだが、こういった画像の目的は、第一に「そこにある」ことを示すことにあり、第二に「あっちにあるものとは違う」という単純な特徴を示すことにある。したがって、大きさや形や色についてはともかく、ただそこにあるということがアイコンの第一の機能なのだ。そこから出発して、後はどのように図案を作ればバナーで示したい目標をビジターに理解してもらえるかが明確になってくる。ゆえにバナーは、「どんな写真で飾るか」とか「どういう色でどんなフォントを使うか」という点から出発してデザインしてはいけない。それはページやサイトの目的という観点から見たバナーのデザインではなく、別個に外部のデザイナーへ発注して単独で良し悪しを語れるような、配布用のデザインなのである。

もちろん、ページデザインの基礎にユーザビリティやアクセシビリティの観点が盛り込まれつつある情勢は理解しているので、自治体サイトのデザインを「全般的に言って駄目だ」と言いたいわけではない。しかし、過去に大阪市のサイトについても述べたが、ヘッダー部の画像を見ても分かるように「リキッドレイアウトにしたときの画像の作り方」という見え見えの部分最適化が図られており、水平方向にグラデーションをかけるといった稚拙な手法が明示しているように、自治体サイトのデザインには無駄な設計も盛り込まれつつあるようだ。

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KAWAMOTO Takayuki

Mr. KAWAMOTO Takayuki
also known as philsci
(birth day: Sep 20 1968)
live in Osaka city, Osaka, Japan.

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