最終更新日: 2008年11月22日

近江商人―現代を生き抜くビジネスの指針

2008年03月09日 23:40

いかにも(自分の頭でものを考えない)ビジネスマン向けに書かれた、時代錯誤丸出しのノウハウ本みたいなタイトルですが、内容はいたって真面目な歴史書です。

 近江商人―現代を生き抜くビジネスの指針 (中公新書)

広く知られているとは言えませんが、伊藤忠や西川産業などの名だたる企業が近江出身の商人達によって興されたと書かれたら、経営者たちの中には「経営のエッセンス」みたいなものをイタダキたいと思って、こういう本を手に取る方がいるのかもしれません。しかし、本書の中で経営方針について得るものがあるとすれば、「取引相手やお客さんのことを考えずに、てめーの利益だけを考えて商売をしてはいけない」といった、議論の余地が多い一般論くらいのものかと思います。あとは、兄弟や親戚または知人どうしの共同経営スタイルをいち早く採り入れていたとか、遠く離れた地域にまで出店していたので、地元の人々との関係をうまく持続するために色々な決まり事をつくって清貧を励行したとか、現代の中小企業では実践のしようがない歴史的な実例を辿るだけになります。例えば従業員のモラルを維持するために30歳を越えるまで妻帯を許さなかったという実例も出てきますが、現代でこんなことが出来るのは、宗教団体や反体制組織が資金稼ぎに運営している企業くらいのものでしょう。

今回は、まったく純粋に「近江商人」と呼ばれた人々がどんなことをしていたのかを知りたくて読んだので、特に経営管理部の人間として何か得ようという下心はなかったのでした。ということで、ごくごく歴史の本として読んだので、知ることが多く参考になりました。第二次大戦前までは、実に世界中のあちらこちらに進出して商売をしていたのが分かりましたし、当時の資料から分かる商売人達の生活も、うっすら予想していたものと同じだったり違ったりしている点があって、興味深く読みました。

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