最終更新日: 2008年11月22日

これだけ携帯電話は普及しているというのに

2006年04月23日 04:35

やはりコンテンツの提供はそれほど進んでいない印象をうけます。確かにサイトの数は増えてきていると思うのですが、たいていの携帯サイトは「携帯でも情報を確認できます」といった、PCサイトのおまけ扱いでしょう。やはりポイントはビジネスモデルになってくるのかもしれませんが、その点でもまだまだどの業界でも試行錯誤が続いているようです。

例えば、アダルトの業界を例に取っても、素人オリジナルという狭いジャンルに限って言えば、Hime○ix の携帯サイトは昨年の 9 月頃にサービスを終了したし、S-○ute というサイトの携帯版も今年になってサービスを終了しています。グラビア系のサイトである Gra○his の携帯サイトも、有料制だったのをいまでは無料サービスに切り替えているし、比較的早くから携帯サイトを運営していた image ○ix も、ランキングソフトを入れ替えたのと同時に携帯サイトをなくしてしまったようです。これに対して、いままで素人娘○集隊という携帯サイトを運営していた 会社が○人大全集という PC サイトのタイトルそのまんまで携帯サイトを立ち上げたし、動○ビさんも携帯サイトを立ち上げましたから、みんないちどは立ち上げてみたいようですね。もち ろん、僕も前の会社では携帯版を立ち上げていましたが、なにせ決済サービスに適当なものがなく、また広告を入れようにもロクなものはないしクリックもなか なかしてくれません(騙しはしていません)。収益モデルをつくるのはなかなか難しいです。

やはりコンテンツをもっているところなら、ビジネスモデルとして従量課金や月額課金を考えるのは当然と言ってよいでしょう。しかし、現状では公式サ イトでもないかぎり決済のよいシステムがありません。PC に比べて操作性の制約が多く文字を入力し辛いツールだし、回線速度や機種によっては処理スピードが遅いという点から考えれば、決済の処理は必要最低限のス テップで進まないといけませんが、公式サイトみたいに暗証番号ひとつで電話料金と一緒に課金してくれるような、すぐれた決済システムはなかなかありませ ん。やたら電話をかけなきゃいけなかったり。

あと、従量課金と月額課金で思うのですが、着うたフルのサイトは従量課金というか一曲ずつの課金が多くて、着うたのサイトは月額課金が多いという傾 向は、そろそろ定着してきたように見えますね。でも新曲とかはどこのサイトも似たり寄ったりで、なかなか独自性を出すのにどこも苦労してるみたいです。思 うのですが、もっと昔の曲をサンプリングして配信する方がウケると思うのですが、権利関係で難しいのでしょうかね。例えば特撮とかアニメの曲を配信するこ とに限って言っても、20 代後半から 40 代くらいまでのユーザーにじゃんじゃん買ってもらおうと思えば、当然ながら一曲ずつの従量課金にして、90 年代以前のアニメや特撮モノからリサンプリングした曲を配信するのがいいと思ってしまいますが、難しいのでしょうか。あと、わざわざ携帯でアニメや特撮モ ノの曲を聴こうという人なら、やはりコンプリート感覚を刺激するのがよいでしょうから、着うたは絶対にダメですよね。フルで曲が入っていないと。フルで 入っていればテレビバージョンでもいいと思いますが、30 秒くらいでフェードアウトするような中途半端な曲を 100 円で配信するくらいなら、300 円してもフルで聴ける方が売れると思うのに。あと、前にも書いたことありますが、アニメの着うたサイトに多いアレンジバージョンとかライブバージョンは、 頼むからはっきりテレビ版じゃないことをしっかり明記して欲しいです。あるいは試聴できるようにしておいてほしいですね。だいたい、90 年代バージョンとか、他人がカラオケみたいに歌ってるアレンジバージョンって、売れると思ってるんでしょうかね。オリジナルが売れるに決まっていると分 かっていても、やっぱり権利関係で難しいのでしょうか。なら、これも中途半端な他人の歌で出すよりも、敢えて出さない方が「騙された!」という悪い印象を 植え付けずに済むと思うのですが。どうなんでしょうか。ていうか、そもそも個人的にアレンジバージョンとか他人のカラオケとかは聞きたくないので。あと、 イントロ・中サビとかバラバラの曲なんかもっててもしょうがないし。アニメの曲とか特撮の曲って、本当にメールや通話の着信用に設定してる人なんか購買層 の社会人にはそうそういないわけで、やっぱり聴くために買ってるわけだし、きちんとしたものを出してもらいたいですね。

公式サイトで使われているまとめ払いのような手軽に課金できる決済システムが一般サイトにない以上、携帯サイトを使ったビジネスモデルと言っても、 直に課金するような仕組みは提案できないのが現状でしょう。すると、広告による収益を別にすれば、あとはホテルの予約を携帯で受けたり、PCサイトに付加 価値をつけるための連動サービスを付け足したり、メルマガ配信や簡易アンケートといったマーケティングのツールに使ったりするのがせいぜいかもしれませ ん。でも、連動サービスは PC サイトと携帯サイトの両方にアクセスしてもらう必要があるため、ターゲットを絞ってしまうから、マーケティングとして明確な目標がない限りは収益に結びつ けにくいアプローチでしょう。また、どのアプローチにしてもそうですが、注文や予約を取るには相手にメールアドレスを入力してもらう手間が発生しますし、 かといってメルマガのように空メールを送るやり方は個人的にうまいやり方ではないという印象があります。なんていうか、ML の登録手順として慣れている人には何でもないことだと思いますが、PC サイトを使っていない(もともと PC をもっていない)人にしてみれば、空メールを送るという行為が「安易に自分の情報を開示してしまう」ことのように思えて、やはり各種媒体の「スパムがやっ てくる」というセキュリティのキャンペーンもあって予想するよりも反響がないのだろうと考えます。

かといって、Origami のような PDA とかそれの延長みたいなものが普及してくるならいいかというと、そうでもない。確かにこれからの PDA 向けサイトをつくる前提で言えば、携帯サイトとは違って、貧弱で怪しげに思われるデザインに収めなくても済むという利点はありますが(きっちりデザインし て「信頼性のあるサイト」に見せる一方で、過度に重くなりすぎない携帯サイトをつくるのは、凡庸なデザイナーが思っているよりも難しい)、そもそも前提が 間違っています。これまでの動向を振り返っても、PDA が携帯ほど普及する見込みは限りなくゼロに近いし(過去に、「多くの」ビジネスマンがザウルスなどの PDA を使っているかのような前提で記事を書くという、悪質な嘘っぱちが PC 系の初心者向け雑誌などで見られましたが、実は PDA をふだんから仕事に使っているビジネスマンなど殆どいないのです)、どちらかと言えば携帯が PDA を駆逐してしまう見込みの方が高いでしょう。ユーザーは中途半端なツールには収斂しないものです。購入・維持の手軽さでは携帯、スペックとコンテンツでは PC というように、きっちり分けられるツールに収斂するものであって、PDA みたいな中途半端なものには収斂するはずがありません。それは、いまや携帯で音楽を聴く人が増えてきて MD やラジカセが風前の灯火なのを見れば分かるし、ミクロ経済の視点で考えても、多数の中間所得層が品質・値段で中くらいのものを買うかといえば、実際には安 くて手軽なものを買うのです。なぜなら、圧倒的多数のユーザーはマニアではないのだから、「どこが中くらいのスペックなのか」とか、「落とし処として納得 できるのはどこか」などに興味を持っているわけではないからです。分からなければ、安いモノを買う。当然です。

いま一般企業で作っている携帯サイトを見ていると、PC版のサイトが企業あるいはサービスのカタログをそのままウェブページに落とし込んだだけのよ うなサイトになっているのと同じく、携帯サイトは更に簡略化されたカタログのようになっており、とても携帯サイト単独でのビジネスモデルを考えられる段階 にないと分かります。しかし、収益を見込めるモデルがないとか予算がないことだけではなく、そもそも一般の制作会社で携帯ブラウザに特化したコーディング ができる人材に不足している点も見逃せないでしょう。携帯用の Java アプリを書けるプログラマーや携帯サイトが作れるデザイナー(ちょっと昔なら、更に HDML が書けるコーダー)は、いまでも不足しているという認識です。制作会社の事業内容を少しでも見てみれば、携帯サイトはいまだに携帯サイト専門の制作会社が 作っているケースが多く、その多くは自社で携帯用のサービスを運営していたりします。もちろん、表向きの事業で稼げていない会社は、出会い系をはじめとす る裏家業もやっています。だいたい、携帯サイトを制作した経験がない制作スタッフは、ここ 1, 2 年の機種に限定すれば XHTML Basic で全てのキャリアに対応できるということも知らないし、au 向けならスタイルシートが使えるとか、DoCoMo 向けならテーブルタグが使えることすら知りません。確かに、携帯サイトを制作するための情報は殆どがネットにあり、書籍は何冊かの携帯サイト向けタグ辞典 だけで、専門の雑誌すらないのですから仕方のないところでしょう。

しかし制作サイトで言えばニーズがあればすぐに対応できるでしょうから、やはりいちばんの鍵は収益モデル、とりわけ決済システムがどこまで整備され るかにかかっていると言えます。お財布ケータイなどとは違って、携帯電話の中で直に商品のやりとりと決済を済ませるのですから、レジの前で筐体をセンサー にかざすのと同じくらい手順やインターフェイスが簡便にならないと、一般サイトでの収益モデルを確立するのは難しいでしょうね。

それはそうと、PC 版のサイトについても最近思うのですが、なぜ Yahoo! Mobile のリンク・コンテンツってあんなに貧弱なんでしょうかね。ていうか PC 版も最近は Yahoo! ○○という自前のサービスばかり拡充して、そろそろ Yahoo! は検索サイトとしての役割を見限ったのかもしれませんね。実質的には Google に白旗を揚げたのかな。

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