Craiglist はテキスト版の Second Life か?

2009-03-22 00:00 / hittings

なぜ Craiglist をセカンドライフと同列に扱っているかというと、俗に日本のユーザがセカンドライフや Craiglist のような「突き放し系」のサービスを敬遠する傾向にあると言われているからだ。しかし、今回は「果たしてそうなのか?」と考えてみる。

日本のインターネット・ユーザが突き放し系のサービスを嫌がる理由として、よく指摘されているのは、日本のユーザは海外の RPG のように「システムだけ用意されていて、ストーリーは自分たちでつくる」タイプのアプリケーションよりも、FF やドラクエのように「システムもストーリーも用意されている」タイプのアプリケーションを好み、ちょうど小説を読むように RPG をプレイしたがるうんぬんという話だ。しかるに、セカンドライフや Craiglist のように、何をしたらいいのか途方にくれるようなアプリケーションを好まないと。

僕も一時はセカンドライフが流行らないであろうと論評したときに、似たような理屈を持ち出したことがあるかもしれない。しかし今では、そうだろうかと思う。オンラインゲームのユーザを見ると、大きなストーリーはあっても基本的にゲーム内でユーザはかなり自由な行動を取れ、そして自由な行動が取れることを活用している人も多い。交易をしてお金をためまくっていたり、寝る間を惜しんでレベル上げに励んだり、ゲーム内の風景をスクリーンショットに保存して観光案内のブログを立ててみたり、運営元の意図とは違ったプレイスタイルで楽しんでいるユーザも多いのだ。こうした個々のプレイスタイルは、殆どのプレイヤーは海外のユーザと英語でやりとりした経験に乏しいと仮定すれば、特に「ガイジン」のスタイルを真似ているわけでもなく、それぞれ楽しめるスタイルを自分たちで発見しているのだと思う。もちろんセカンドライフが「ネットゲーム」というカテゴリーで括れず、それゆえ単純にゲームと比較はできないという事は分かっている。ゲームの事例が悪ければ、mixi や ASP のブログサービスがどのように活用されているかを述べてもよかったのである。

それでも、セカンドライフで中学生の下着や、高校生の下着や、あるいは小学生の下着を作っているような連中に比べたら、かような限定された環境でいくら工夫しても十分ではないと言い、「日本人はクリエーティビティがない」と叫ぶ人はいる。それゆえ、日本人は(お前らだって日本人だろうが)自由なステージに放り込まれると面倒がるので、セカンドライフや Craiglist は普及しないだろうと言うのだ。

これは振り返って考えると、おかしい理屈だ。

そもそも日本でのセカンドライフの失敗(と言い切る)は、日本語版のインターフェイスをリリースするのに、告知を始めてから時間がかかりすぎたという点、そして日本の市場を調べもせずにアメリカンコミック調のキャラクターをそのままデフォルトで押し付けたこと(あのキャラに引いたから使うのをためらったと書いていたブログを幾つも見た)、それからパブリシティに最初からビジネス臭を漂わせすぎたことなどが指摘できる(これはセカンドライフというよりも広告代理店の失態と言ってよいだろう)。また Craiglist については、単純に英語でしかインターフェイスを提供していないという点や、アーリーアダプターの日本人ユーザが黙々と使うだけにとどまっているといった点につきる(もちろん、Pay per post じゃあるまいし、それがいけないなどと誰も言えまい)。

要するにネットビジネスの営業手法として過ちを犯したから失敗し普及していないのであって(Craiglist については、そもそも日本のユーザなど眼中にないだろう)、日本のユーザの利用スタイルやメンタリティの「問題」ではない。だいたい、なぜ消費者が、ただの私企業のサービスに自分たちのメンタリティやアプリケーションの利用スタイルを合わせなければならないのか。自分で何かを作っていかなければならないプレイスタイルを要求するアプリケーションは、そういうスタイルを好まないユーザには受け入れられないというだけの話である。受け入れられないという事実は人種や世代の「問題」ではなく、「イヤなものは受け入れない」というだけのスタンダードな消費者行動なのだ。それに、既に日本国内で同等のサービスがあるなら、たとえ日本語化されようとも Craiglist が普及するとは限らない。ここから、「いやこれからの時代に対応するため、ぜひともネットユーザは英語を学び、自己責任でアプリケーションをプレイできるようにならなければ」と、おとぎ話のような劣化グローバリズムをまくしたてるのも結構だが、これは商品が売れるか売れないかの単純な話であって、文化や生き方の問題では決してないのだ。

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KAWAMOTO Takayuki

Mr. KAWAMOTO Takayuki
also known as philsci
(birth day: Sep 20 1968)
live in Osaka city, Osaka, Japan.

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