雑記(11)

2009-05-23 00:00 / hittings

そのいち。

伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』を読んだ。いつも不思議な読後感があって、言葉の端々だけを取ると何かに怒っているような基調低音があるのに、読み終わると真っ直ぐ彼方を向いているような気分になる。だからこそ、逆に小説を遠ざけてきたようなところはある。別に深い意味合いはないけれど、小説や書の世界には抜け出し難いものがあると自分で分かるからだ。しかるに、あれこれと読み漁ることはせず、数少ない人たちの作品を少しずつ読むくらいが自分には合っていると思う。たぶん、優れた文学作品や面白い小説はもっとたくさんあるのだろう。しかし小説の他にも読むべきものはあるので、5人くらいが限度だと感じている。伊坂幸太郎さんは、その一人になった。元は、たまたま彼女の蔵書に『ラッシュライフ』を見つけて、暇つぶしに読んでみただけなのだった。

そのに。

日中は外を歩くとマスクを着けている人が4割くらいはいたが、帰宅する21時頃になると1割くらいに減っていた。そろそろ異様な光景は堂島周辺でもなくなりつつある。ただ、相変わらずマスクは入荷すると、ものの数十分で売り切れてしまうようだ。しかしてその数十分とは、何のことはない、マスクを手にしたお客さんがみんな精算を終わるまでの時間に過ぎない。既にみんなが並んでしまった時点で、売り切れているのだ。

そのさん。

とは言っても、当社のような制作プロダクションは別の意味でのウィルス騒ぎにも巻き込まれている。今日も打合せがあって話は出たし、先日は代理店のスーパーバイザーさんと話をした。どこがやらかしたといった子細は明かせないが、協議の結論として「技術だけでなくマネジメントも重視しよう」ということに行き着いた。ただ・・・どうなんだろう、相手はなにせ代理店さんだから、若干の不安はある。

なぜなら「マネジメント」と言っても、そもそも JIS Q 27001, 15001 といった認証の範囲で語られているマネジメントだけの問題ではないと思うからだ。当社はどちらも認証を受けているわけだが、それだけで物事が解決したり保証されるわけではないと思っている。それが、一定の水準を超えたから情報セキュリティマネジメントが終わるわけではないというレベルの話に終始するだけなら、両規格が唱えている PDCA サイクルを「回し続ける」だけで事は足りるかもしれない。しかし、MD でも書いてきたように、ウェブ制作・構築・運用という業務を「印刷・広告」業界の括りで考えている限りは、PDCA を回していてもダメだと思う。いくらセキュリティ運用の技術を高めても、おのれ自身とは違う赤の他人どうしが集う会社という場所には、決して解決しない問題が残る。

それは、今回のような情報セキュリティ・インシデントが発生した環境を制作プロダクションとして内側から見聞きしていると、その幾つかは技術や情報の運用レベルを高めるだけでは解決しない、共通の問題を抱えているからだ。そして、通信技術やアクセス情報の運用において危険なのは、デザイナーではなくプログラマや SE という場合もある。ページ制作以外の工程を全て彼らに任せてしまうことによって、システム担当者のスキルや業務環境をチェックできる人が社内にいなくなるのだ。そして、いわゆる「デザイン」や前捌きを除く一切の構築業務をシステム担当者に丸投げすることで、自分たちがやっている仕事をお互いにブラックボックス化してしまうことになる。これを見て、お互いのスキルや専門性を認め合っていると牧歌的な幻想を抱く人もいるわけだが、本当にそんな状態の企業は100に一つもない。たいていは、防衛的な意図で職域や職能を分割した結果そうなっただけでしかないのだ。

かような状況に至ると、脆弱性が高まってもお互いに気づけなくなるのだ。デザインやシステムの部署は、何を言っても無茶な工数で作業を押しつけられると思ってしまい、防衛的な業務に走る。仕様変更を頑として受け付けなくなり、どのみち帰れないのだから、せめて社内では自分たちが居心地よく働けるルールを立てようとするのである。つまり、社内外注化と言われる現象が起きる。大企業では珍しくもないことだろうが、中小企業であっても、隣のプログラマに一行だけ修正を頼むために、役員の押印が必要な発注書を必要としたりするまでに至るのである。こうなってしまっては、誰も他の部署のリスクアセスメントを適正にできなくなる。

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KAWAMOTO Takayuki

Mr. KAWAMOTO Takayuki
also known as philsci
(birth day: Sep 20 1968)
live in Osaka city, Osaka, Japan.

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