Scribble at 2020-09-27 18:36:27 Last modified: unmodified

添付画像

上記の画面は Project Euclid というサイトの検索結果だ。Project Euclid は特に数学のオンライン出版をサポートしているサービスなのだが、このサービスが出版事業をやっているわけではない。つまり、出版社の代わりに古い雑誌をスキャンして PDF のような媒体を提供するプラットフォームということだ。もちろん、それぞれの出版事業者なり学術団代が自前で出版のプラットフォームを利用するようになると、こういうサービスも不要と言えば不要になってくる。そして、コンテンツがオリジナルの雑誌サイトと重複するようになるので、ゆくゆくは JSOTR のような存在意義があまりわからないサイト、つまり学術コミュニティにおいて位置づけが微妙なサービスになるのは必至だろう。たとえば、Archive.org には JSTOR のコレクションと称して、19世紀や20世紀冒頭の雑誌論文が大量にアーカイブされている。これらは、もちろん著作権が切れているものが大半なので、JSTOR どころか著作権者自身にも権利はないのだから、いつまでも自分たちが著作権を握っているかのような法的錯誤を引き起こすような表記は不当というべきだし、他にも理由があって JSTOR から論文を吸い上げていたアーロン・スワーツのような人物もいたわけである。

他の出版事業者のサイトにも言えることだが、サイトでオープン・アクセスのコンテンツだけを検索するというオプションを大抵の事業者は提供しようとしない。Oxford U.P. も Cambridge U.P. も Routledge も、わざと探しにくく作っているのである(SpringerLinks だけは例外のようだ)。よって、普段はお金を払って雑誌を購読している人であっても、そのサイトで他のオープン・アクセスの雑誌や論文を探すのが面倒だというだけの理由で、SciHub のような海賊サイトを使ってる人もいるし、現物の本を購入して家に持ってる人でも、PDF 版を買いなおすなんてナンセンスだという理由で、ebook3000 のような海賊サイトを使ってたりする。つまり、無料で本や論文を読みたいというだけの人間が海賊サイトを使っているわけではなく、上記のような理由で海賊サイトを利用する人については、そもそも正規のサイトの UX が酷過ぎるという自業自得なのだ。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook