2017年08月25日21時33分 に初出の投稿

河本孝之Takayuki Kawamoto

Last modified: 2017-08-25 21:35:34

「いまだに」と書いたけど、確かにアメリカでもトランプ支持者は「いまだに」political correctness を一種の全体主義や左翼主義あるいは言論の自由に対する脅威だと唱え続けている。アマゾンで digital publishing として頒布されている本は、たいてい「そっち系」だ。もちろん右翼やトランプ支持者、あるいはバカにすら言論の自由はあるが、「黒人を殺せ」と扇動する権利や、「女を役員会から締め出せ」と差別する権利などありはしない。このところ翻訳者とプロパーとで行為遂行的・・・古臭いよなぁ、認知言語学にコミットしている科学哲学プロパーから見ると完全に過去の議論なんだけど、そういうものが話題になっているらしく、「あいつらをやっつけろ」みたいな発言というのは、まさに暴行罪の教唆となりうる performative action だ。発言と同時に違法行為や権利侵害を助長していれば、そんな発話の自由などないのは当然である。その種の発話を規制する「正義の強制」は、どれほど一部の人間の生理に反していようとも拒否できない。そういう文明の力に耐えられない状況を、三島のように文学的な自意識で飾り立てるほかない「知的軟弱者」は、要するに死ぬしかなかったのである。センチメンタリズムに頭を支配された人間が勝手に死ぬのは些事であり、ジャーナリストだけが騒ぎたてる様子とは対照的に社会科学的なスケールですら「些事」と呼べる出来事だが、他人を巻き込むのはやめてもらいたい。

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