2017年08月07日10時02分 に初出の投稿

河本孝之Takayuki Kawamoto

Last modified: 2017-08-07 10:02:00

僕はウィキペディアや Wikipedia の利用者でもあるし、編集に参加しているボランティアの一人でもある。ご存知の方はとっくにおられると思うが、"markupdancing" という、サイト名をそのままユーザ名としている。これまで多くのエントリーを利用してきたし、それなりの数の編集にも参加してきている。したがって、このサービスの意義は理解しているし、支持してもいる。しかし、事業としては数多くの課題を抱えていて、その原因と思うことがらにいついて僕なりの批評を書いておきたい。

まず PC 版の Wikipedia にはブックマーク機能がないので、Android 版のリスト(ブックマーク集)をデスクトップで共有できない。なので、デスクトップではウォッチリストの履歴が事実上のブックマークなのだけど、これも保存数が非常に少ないから、ブラウザの昔ながらのブックマークを使うか、あるいはめぼしい項目は Firefox の Scrapbook アドオンでローカルに保存している。つまり、僕はウィキペディアというサイトは場当たり的な参照か、あるいはローカル保存かの両極端でしか使えないと思っている。どんどん編集して良い記載になっていくとは言っても、そこへ学者でもない多くの人が再び戻って「よい記載」を参照しなおすインセンティブがあるのかというと、それを醸成することには完全に失敗したサービスだと思う。

他にも幾つか言えることはあるけれど、まずジャンルの偏りは既に是正が不可能な段階に入ったと思う。これから30年待っても、学術用語の項目がせめて英語版並に充実するという望みはないだろう。恐らく、哲学者の項目数よりもアダルト女優やエロアニメの項目数は多いままだろうし、SEP みたいなものを1項目ですら自発的に作る気もない日本の(雑用に忙しいと、毎日のように Twitter に書いている)哲学教員や院生が、これからも項目を自ら起こすとは思えない。そして、当初から言われていたほど、「アマチュアが勝手に書いてるものよりは大勢で編集したほうがクオリティは高い」という証拠や正当化が無いということが決定的だと思う。そもそも集合知という一般論すら、実は理論的な根拠は薄弱だ。

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