2017年07月01日08時14分 に初出の投稿

河本孝之Takayuki Kawamoto

Last modified: 2017-07-01 08:24:37

会社の取締役とか役職を経験してみると、会社というものがいかに不合理で非効率なやり方で運営されているかが分かるし、恐らく世の中の法人の 99.999% は僕らと同じ素人が経営しているのだと容易に想像できる。しかし、そうである以外にはありえないという意味では、それは「自然」なことだ。よく僕が「凡人」とか「素人」と言うと derogatory だと誤解されるのだけど、人の能力や人格に無用な仮説を置くなと言ってるだけだし、人がいかなる意味においても有限であるという事実をもっと真面目に徹底して理解するべきだと言っているにすぎないんだよね。特に社会制度については、それを提案・採決・運用・研究・評価する者の誰もが間違いうるし、能力としても無制限に提案・検討・実行・研究できるわけでもないという点を十分に考慮しているかどうかが大切だと思っている。それゆえ、福祉に安易な条件や例外を設定するべきでは無いと思う。

昨今、まるで事の是非や基準の適不適を誰かが常に判断できるかのような「社会科学的ファンタージー」を信じ込んで、この老人に福祉は要らぬ、あの外国人は日本に要らぬなどと、まるで神にでもなったかのような発言を繰り出す人々が SNS のように匿名でものを書ける場所に数多く現れている。もちろん、目に見える数が増えただけであって、もともとそういう人間は潜在的に同じ割合でいたのかもしれず、SNS や匿名の発信手段が増えたせいで目に付き易くなっただけかもしれない。しばしば「バカ発見器」と言われているように、もともといたバカを見つけやすくなっただけかもしれないわけだ。しかし、それならなおのこと、マスメディアや大学や行政の広報でどれほど民主主義や公平・正確・妥当な判断の大切さを訴えようと無力であるという証左ではないのかという気がしないでもない。こういうことは、しょせんは学部卒という、学術のレベルとしては幼稚園並のレベルでしかないにもかかわらず、英語を読み書きできるというだけの東大やアイビーリーグを出た経歴しかない凡人どもが、市中のコンサル会社や多くの上場企業、あるいは立法府や行政府やマスコミで、権力を行使したりものを書いていたり決裁しているのを見ても、やはり情報としての知識をどれだけ蓄え、クリシンのような口先弁論術やフレームワークのような偏見パターンをどれほど暗記していようと、しょせんバカはバカにすぎないということなのか。

しかし、もちろんそれを僕が断定することはできない。僕がマスメディアや出版物や SNS で見聞きしている凡人たちは一部の人々でしかない。しかし、福祉に安易な例外を設けるべきではない(その例外に該当するかどうかは、基準や基準の運用において必ず不当な結果を引き起こすだろう。それが凡人の実務能力というものだ)のと同じく、誰が有能で誰が無能であるかを無条件に断定するべきでもない。したがって、この世は基本的に有限で(堕落したとも言いうる)凡人によって構成されており、ノベール賞を受けていようと岩波書店から全集が出ていようと(笑)、その有限性において例外はないと考えるのが妥当な人間観だと思う。

もちろん、だからといって、みんなそれぞれ得て不得手があるのだから結果の評価を割り引けと言われても、それには首肯しない。人は何らかの擬制として理想や目標を設定することによって行動の計画を立てたり動機を強化するという(或る意味では、これもヒトの生物としての有限性による)特性をもつので、やはり理想的な基準を設定して、それに満たない結果は低く評価されたり、ときによっては批判・非難されたり、場合によっては有害と断定して社会から何らかの意味で排除しなくてはならない。僕が言っているのは、それを常に正しく断定できる者はいないという前提で社会制度を設計せよということであって、断定するなと言っているわけではないのだ。福祉に関しては、誰が享受するべきかという基準を合理的に決めることはできないと思うからこそ、まずは全員に当てはめることが望ましいと言っているのであって、それが理想だと考えているわけではない。しかし、理想的な基準とは何であろうか。ビル・ゲイツや孫正義のような資産家を福祉の対象として除外することが社会正義や経済的な効率という概念に本当に適っていると言いうる根拠はなんだろうか。僕には、このような理屈はたいていの場合に循環論法になっていると思う(そして、それを隠すために彼らへの嫉妬という感情を利用する卑怯者が出版や報道の業界に一定の数で「飼われている」わけだ)。

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