2017年03月23日12時37分 に初出の投稿

河本孝之Takayuki Kawamoto

Last modified: 2017-03-23 12:37:48

Upgrade your Medium

経営状況が苦しいと言われている Medium が、いよいよ有料プランを出してきた。もちろん、先行して巨大なシェアをもっている WordPress.com (Automattic) でも有料プランはあるし、こうした展開はフリーミアムとしてはありふれているので、特段の違和感はない。無料で使い続けようと思えば(まだ)使い続けられるわけだし、ただちに拒否反応を示す必要など全くない。

現状では、良いコンテンツを期待しうる書き手や、有益なプラットフォームを維持するものと期待できる企業へ、一定の対価を支払うことは理にかなっている。確かに、無料でも書き手や企業に十分なインセンティブを与える仕組みが可能かもしれないと想定できるという理由で、必ずしも対価を支払うことが自明であるとは思わないのだが、どのみちそうした仕組みは現実には存在しないし、どういう仕組みなのかも分からないので、そういうぼんやりした可能性があるというだけで現状の仕組みをいたずらに相対化しても益は少ないだろう。

とは言え、幾らでも対価を支払えるわけでもないから、消費者は一定の基準で取捨選択をせざるをえない。そして、そうした取捨選択において Medium のようなオンライン・サービスと競合するのは、ほぼ「金で買えるもの全て」である。経営者の多くが陥りがちな視野狭窄の原因は、オンライン・サービスと競合するのは似たようなサービスだけだと思い込むところにある。しかしそれだけでは、Medium が仮に似たような他のサービス、例えば Tumblr にシェア競争で勝ったとしても、人々の嗜好がブログやテキストベースの SNS を離れてしまい、VR/AR 上のやりとりへと移行してしまえば、どれほどシェア競争に勝とうとも先は見えている。自分たちの提供するサービスと一蓮托生となっても潔いが、企業の経営者としては二流と言わざるをえない。簡単に言えば、執行や経営と所有において(形式的には)分離している企業というものにおいて、経営者は事業の具体的な内容に固執してはいけないのであって、彼らの最大の使命は収益を伸ばすことと事業継続なのである。ここで言う「事業」とは、ブログサービスやラーメン店の経営といった具体的なサービスのことではなく、端的に言って法人としての体制である。

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