2017年02月12日10時04分 に初出の投稿

河本孝之Takayuki Kawamoto

Last modified: 2017-02-12 10:04:30

海月姫(1) (KC KISS)

Kindle for Android をインストールした際に、その場でお勧めされた『進撃の巨人 悔いなき選択 リマスター版』と一緒にダウンロードして読んだ。二巻までは無料だったため、二巻まで読んだ感想としては、「おたく女子」と大金持ちの政治家一家という、それぞれ特徴のある(「両極端」というスケールの取り方が適切だとは思えなかったので、いちばん無難に「特徴のある」と書いておく)スタイルの男女を置いた恋愛ドラマということなのだろう。前時代的な下宿屋でのストーリー展開というのは、『マカロニほうれん荘』なり『めぞん一刻』なりを読んできていて、濃密な人間関係を描くための set-up としては今でも有効なのだろう。

ただ、この作品にしても感じたし、僕がそれこそ『マカロニほうれん荘』からこのかた、こういう set-up の漫画作品に昔から感じている強い不満がある。それは、外観や玄関くらいは頻繁に描かれるのだけれど、建物の中の詳しいイメージが全く湧かないということだ。当人達が愛着をもっている筈の建物について雑にしか描かれておらず、人間関係を描くための書き割りていどの扱いしか受けていない。どの作品の建物でもいいが、いったい何部屋あって、管理人はどこに住んできて、トイレや炊事場がどうなっていて、誰がどのように食事を作っているのか、ゴミはどこへ出しているのかという、要するに「漫画のストーリー」とは直に関係のない要素の情報が全く描かれていないのだ。しかし、ストーリーの厚みや説得力というものは、登場人物が生活している場所や職業や経緯といった直接の事情ではなくても、それらの事情を組み立てるために必要なあれこれの要素が、どのくらいの分量や正確さで構想に組み込まれているかによって変わると思う。そして残念ながらこの作品も、それぞれの登場人物が置かれた事情のこれまた背景描写としては、かなり薄っぺらいか、あるいは構想に組み込まれてもいないのではないかと思える。

あと、アマゾンで後続の巻について掲載されているレビューを少し眺めたら、主人公はこのあとファッション業界へ進むらしい。うーん、なんとなく 90 年代にフジテレビのドラマにあったような話だなぁ。で、松嶋菜々子(個人の主観としては、この人は特に「美形」とは思えないが。顔つきが何か犬系統のペットみたいだし)みたいなのがメガネをかけたオタクとして登場するような・・・もう、その後は誰でも想像できるとおりのストーリーだ。

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