2017年02月09日09時44分 に初出の投稿

河本孝之Takayuki Kawamoto

Last modified: 2017-02-09 09:44:43

低い賃金、不安定な雇用、長時間におよぶ単調な練習、そういった厳しい現実をすべて受け入れられるほど自分は真に音楽を愛しているか、もう一度自らに問いかけてほしい

セックスとドラッグと、クラシック音楽界の構造的欠陥

ウェブ制作の業界にいる人々にも、そっくりそのままの趣旨を訴えたいのだが、やや誤解を生じる恐れがあるので、先に注釈したい。

僕は安い賃金でいいとは言わないし、雇用が不安定であることも「雇用市場の流動性」とは別の事態だと思っているし(つまり転職しやすいということと制作プロダクションに事業継続性がないということは同じではない)、ウェブのデザイナーやコーダーが「長時間におよぶ単調な練習」どころか勉強すらしないのは知っているので、仕事上の責務として必要がないことや、そもそも素養からしてできないことは求めない。しかし、その仕事に就いて何年かかるかは分からないが、少なくとも自社で携わっている範囲の実情を理解した末に続けてゆくかどうかを真面目に考えてもらいたいし、そのために自分たちの納品物を実際に使う人々のことも考えてもらいたい。(上記では音楽を聴く側のことをまるで考えなくてもいいかのような印象を受けるが、やはり音楽家もプロの職業人であるからには、完全に芸術家として振る舞っていればいいわけでもなかろう。それは一生の面倒を見てくれるパトロンに囲われていたような時代の、芸術家とはいえ実質的には奴隷と同等の人々だけに通用する生き方であった。)

ということで、無料のブログサービスで自分でブログを運営したこともなければ、SNS すら使ったことがないと公言するような連中が山のようにいるウェブ制作業界の「クリエイター」たちに言いたい。ウェブの制作が、GA の使い方くらいしか知らない素人マーケターのイカサマ企画書、芸大を出たていどの無能が Photoshop や Unity の機能を助けに吐き出す自称クリエーティブ、そしてロジックの素養すらないパズルモンキーのコーディングの寄せ集めでしかないなら、そういう産業に世の中を真の意味で「支え」たり「変える」ようなポテンシャルはない。はっきり言えば、つまらない打ち上げ花火を揚げることだけに精を出して、根拠も証拠もなければ学術的な論証もなく些末な理屈をこねるだけの業界人や物書き、あるいは(実は広告やマーケティングについて学卒以上の素養が殆ど無い)広告代理店の三下に振り回されているばかりでは、ウェブコンテンツの制作などスーパーのチラシを作り続けている印刷業界にすらまるで届かないような仕事だという話である。せいぜいサラリーマンとして凡庸な納品物を乱造して、30年ほど経ってからセンチメンタルで下らない回顧録でもどこかに書けばいい。

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