2017年02月08日09時15分 に初出の投稿

河本孝之Takayuki Kawamoto

Last modified: 2017-02-08 09:15:18

当社も、最近ではようやく IT 企業ではないという自覚ができてきたらしく(悪い意味で言っているわけでもない。数学ないしコンピュータ・サイエンスの Ph.D. を保有する人間が一人もいない会社をいまどき「IT企業」と自称するのは厚顔無恥であり、いま当社が称しているような「ITサービス企業」という位置づけは寧ろ正確であり、或る意味では誠実だと思う)、営業代理店のノリが浸透してきたようで、社内のメーリングリストに「○○を 25,000 件、突破しました!」というメッセージが流れて、それを祝福する返信が連なっている。しかし、それをお知らせというだけで全社向けのメーリングリストに流されるのは困るので(通達系の告知に使ったり入社・退職の挨拶に使ってきた)、ChatWork に「目標達成通知!」という通知専用のグループを作って運営し始めた。

当然ながら、メールでやっていたときと同じく、何かあると最初に通知する人が書き込んで、それに応答する人たちのメッセージが連なる。しかし、ChatWork で挿入できる emoticon だけ連なるという状態になりやすいため、ログの流れ方がなかなか速くて、何を喜んでいるのかシークするのですら面倒臭い。

すると、当然ながら「ChatWork でも『いいね!』できたらいいのに」という声は挙がる。しかし、それは無理だ。これはシステム屋によくある「リスク対策としての取り敢えずの拒否」ではなく、ChatWork の設計思想からして、彼らにはそんな機能を追加する意志はないのである。札束で技術者の顔を殴ろうと、彼らはやりたくないことはしない。(もちろん、経営者、あるいは彼らと提携している KDDI の連中がどう判断するかは知らない。)

いいねボタンの設置: ChatWork ご意見・ご要望フォーラム

このフォーラムで紹介されている「チャットワークはなぜ既読がつかないのかーCTO山本正喜氏が考える「人」「組織」そして「働き方」」という記事で ChatWork の CTO 山本正喜さんが説明しているように、この手のボタンを追加すると、多くの会社ではボタンを押して意思表示できるという状況そのものが無用な牽制となって、「上司の投稿には『いいね』で反応すべし」という日本的で陰湿な不文律が出来上がりやすい。これでは、メールでいちいち「ありがとうございます」とだけ返信しているような馬鹿げたビジネス習慣と同じで、日本の(日本人のではなかろう)生産性の低さは何も改善しないだろう。つまり、ボタンひとつの問題に限らず、このようなコミュニケーション上の問題の本質は、メールを使うか ChatWork を使うかというツールの機能にあるのではなく、それを使う(そしてどう使っていくかに応じて考え方を変えられるかどうかという)人の発想の柔軟さが大きいかどうかにあるのだろう。それゆえ、ChatWork を導入して、このサービスが或ることをする・しないのはどうしてなのかを考えるきっかけにでもすればいいのだろう。単純に自分たちがこれまでやっていたことが「できない」と文句を言っているだけでは企業は何も変わらないので、これまでやってきたことを検証して更に良くするにはどうすればいいかという発想を促すようにリードしていくことが、われわれ役職者に課せられた「マネジメント」というものであろう。

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